「うちの会社には、情シスがいません」
中小企業では、珍しいことではありません。
パソコンは使っている。メールも使っている。クラウドのサービスもいくつか入れている。でも、ITのことをまとめて相談できる人が社内にいない。
すると、こういうことが起きます。
- パソコンが遅いけれど、誰に聞けばいいのか
- 新しいサービスを入れたいが、何を選べばいいのか分からない
- 社員のパソコンを入れ替えたい
- Wi-Fiの調子がおかしい
- 退職した人のアカウントを、どうすればいいのか
一つひとつは小さな話です。ところが積み重なると、誰かの本来の仕事を確実に削っていきます。
困るのは「壊れたとき」より「決めるとき」です
意外に思われるかもしれませんが、詳しい人がいなくて本当に困るのは、何かが壊れたときではありません。壊れたときは、業者を呼べば直ります。
困るのは、決めなければいけないときです。
業者から見積もりが届いた。この金額が妥当なのか分からない。提案された内容が、うちに必要なものなのかも分からない。断る理由も、受ける理由も作れない。
この状態が続くと、提案されたものをそのまま受け入れるしかなくなります。
相談先には、種類があります
ひとくちに「ITの相談先」と言っても、得意な範囲が違います。
① 機器の販売会社
パソコン、ネットワーク機器、複合機。買うものが決まっているときに強い相手です。逆に「何を買えばいいか」から相談すると、売れるものの中から提案が返ってきます。
② システムを作る会社
業務システムの開発。作るものが決まっているときに頼む相手です。規模の大きい話になりやすく、小さな困りごとには向きません。
③ ITの助言をする会社
方針や計画の相談。考えを整理したいときに向きます。ただし、助言までで、実際に手を動かすところは別になることが多いです。
④ 社内のIT管理を代わりに行う会社
日々の管理をまとめて任せる形です。任せる範囲が決まっているときに向きます。月々の費用が発生します。
⑤ その4つのあいだに入る人
上の4つに当てはまらない立場があります。業者とあなたのあいだに入る人です。
やることは、こういうことです。
- 届いた提案を、あなたが判断できる言葉に直す
- その金額と内容が、いまのあなたの会社に見合っているかを、売る側ではない立場から見る
- 何を誰に頼むべきかを、一緒に決める
- 決まったあと、必要なら手を動かす
私はここにいます。特定の製品を売っていないので、高いものを勧める理由がありません。
「どこに相談すればいいか分からない」が、本当の問題です
ここまで4つ(と5つ目)を並べましたが、実際のところ、いちばん多いのはこれです。
そもそも、自分の困りごとが、どの業者に相談することなのか分からない
「パソコンが遅い」のは、機械の問題なのか、使っているソフトの問題なのか、回線の問題なのか。それが分かれば、もう半分解決しています。 分からないから困っているわけです。
病院に近い話だと思っています
体調が悪いとき、「これは内科なのか整形外科なのか」を自分で判断してから行く人は、あまりいません。まずかかりつけに行って、そこで振り分けてもらいます。
ITも同じでいいはずです。
- パソコンの問題なのか
- つながりの問題なのか
- サービスの選び方の問題なのか
- そもそも仕事の進め方の問題なのか
最初から自分で判断する必要はありません。
ここで止めていい場合
- 社内に、相談できる人がいる(詳しい社員でも、取引先でも構いません)
- いま困っていることが1つだけで、それがはっきりしている
- 付き合いのある業者がいて、その人に聞けば分かる
このどれかなら、わざわざ新しい相談先を探す必要はありません。
相談先を持っておいたほうがいい場合
- 業者からの提案を、断ったことがない(断る材料が無いということです)
- 詳しい社員が一人いて、その人に全部集まっている
- 何が問題なのかを説明できない
- 「これ、どうなってたっけ」と聞ける相手がいない
2つ目は、特に危ない状態です。その人が辞めた日に、会社のITがまとめて分からなくなります。
大事なのは、大きくなる前に聞けることです
問題が大きくなってから専門家を探すのは、いちばん高くつきます。急いでいるので比べられず、言われたとおりにするしかなくなるからです。
「ちょっと分からない」の段階で聞ける相手を持っておく。 それだけで、判断できることが増えます。