生成AIに最初に任せるなら、間違えても誰も困らない仕事からです。
「AIで何かできませんか」と聞かれることが増えました。
できることは、確かに増えています。ただ、何から任せるかを間違えると、一度で嫌になります。 使えないと判断されて、それきりになります。
順番の話を書きます。
向いているのは、「たたき台を作る」仕事です
生成AIが得意なのは、ゼロから何かを書き起こすことです。苦手なのは、合っているかどうかを保証することです。
ここを取り違えると、うまくいきません。
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 文章の下書きを作る | 正しいかどうかを判断する |
| 長い文を短くまとめる | 数字を正確に計算する |
| 固い文を、やわらかい言い方に直す | 社内の事情を踏まえて決める |
| 言われたことを箇条書きに整理する | 前例のない判断をする |
たたき台を作らせて、人が直す。 これが基本の形です。逆(人が作ってAIに確認させる)は、いまのところうまくいきません。
最初に任せていい仕事
次の3つの条件がそろっているものから始めてください。
- 間違いに、すぐ気づける
- 間違っていても、直せる
- 社外にそのまま出さない
この条件に当てはまるのは、たとえばこういう仕事です。
① 文章の下書き
お知らせ、案内文、議事録のまとめ、お礼のメール。出す前に人が必ず読むものなら、下書きから始めて問題ありません。
② 長い文章を短くする
送られてきた資料の要点をつかむ、議事録を短くする。元の文が手元にあるので、おかしければすぐ分かります。
③ 言い方を変える
専門的な説明を、取引先向けのやさしい言い方に直す。社内向けの文を、社外向けに直す。
④ 整理する
打ち合わせのメモを、項目ごとに並べ直す。内容を足させるのではなく、並べ替えさせるのがコツです。
⑤ 最初の一歩を出させる
「何から手をつければいいか分からない」ときに、候補を出させる。選ぶのは人です。
★任せてはいけない仕事
ここは、はっきり書いておきます。
① 最終的な判断
採用、評価、取引を続けるかどうか、お金の使い道。判断の理由を人が説明できなくなります。 これがいちばん困ります。
② お金や契約に直結するもの
請求額の計算、契約書の条文の決定、見積金額の確定。合っているように見えて、違うことがあります。しかも、見た目では分かりません。
③ 人の安全や健康に関わるもの
安全の確認、健康に関する判断、法律で決められた点検。ここはそもそも対象外と考えてください。
④ 確認せずに社外へ出すもの
取引先への回答、お客様への説明、公式なお知らせ。人が読んでから出すという手順を、必ず残してください。
⑤ 入れてはいけない情報を扱う仕事
お客様の個人情報、未公表の数字、他社から預かっているもの。ここは別に書きました。
判断の線は、1つだけ覚えてください
迷ったときの線は、これです。
間違っていたときに、誰かが気づけるか。そして、直せるか。
気づけて直せるなら、任せていい。気づけないまま先に進むなら、任せてはいけない。
難しく考える必要はありません。この1つで、たいてい判断がつきます。
自分たちでできること
① 1つの仕事で、1か月試す
あれもこれもと広げないでください。下書きを作らせるところ1つに絞って、1か月続けてみる。それで合わなければ、合わなかったと分かります。
② 「入れてはいけない情報」を先に決める
使い始める前に、ここだけは決めてください。あとからでは、もう入ってしまっています。
③ 出てきたものを、必ず人が読む手順にする
はじめのうちは、誰が読むかまで決めておいてください。慣れてくると、ここが省かれます。
やらなくていいこと
- 有料の契約を、いきなり全員ぶん結ぶこと。 まず1〜2人で試してください
- 社内規程を、最初からきちんと作ること。 A4一枚のメモで始めて構いません
- 研修を手配すること。 使ってみるほうが早いです
- 専用の仕組みを作ること。 いまあるサービスで足りるかを先に確かめてください
いちばんよくある失敗は、試す前に買うことです。
頼んだほうがいい場合
- どの仕事に向いているのか、見当がつかない
- 試してみたが、思ったほど楽にならなかった(たいてい、任せる場所が合っていません)
- お客様の情報を扱う仕事で使いたい(ここは慎重に決める必要があります)
- 社内で意見が割れている(使いたい人と、不安な人が両方いる状態)
いきなり何かを導入する必要はありません。いまやっている仕事のどれなら任せられるかを、一緒に見るところからで構いません。
どの作業が向いているかを、質問に答えて確かめることもできます。