AIに毎回やらせるのではなく、やり方を1回作らせて、それを保存して使います。
Excelの手作業を減らしたい、という相談が増えました。いままでは「マクロを書ける人がいない」で止まっていた話が、止まらなくなりました。
ただ、使い方を一段まちがえると、前より面倒になります。
いちばん多い勘違い
「AIにExcelの作業をやらせる」と聞くと、こう思いがちです。
毎回AIに頼んで、やってもらう
これは勧めません。 理由は3つあります。
- 毎回、結果が少し違う。同じ指示でも、同じ結果になるとは限りません
- 毎回、確かめないといけない。確かめる手間が、元の作業より増えることがあります
- 毎回、費用がかかる。回数ぶんだけ積み上がります
正しい使い方は、こちらです。
やり方を1回作らせて、それを保存して、次からはそれを使う
AIは「道具を作る人」として使い、できあがった道具を人が持つ。 こうすると、1回目だけ手間がかかって、2回目からはタダになります。
どこをAIに作らせるか
① 計算式を作らせる
「この列とこの列を見て、条件に合うものだけ数えたい」——言葉で説明すれば、式が返ってきます。
これがいちばん敷居が低く、効きます。関数の名前を覚える必要がなくなります。
② いまの式の意味を説明させる
前任者が作った、長くて追えない式。貼り付けて「これは何をしていますか」と聞くだけで、日本語の説明が返ってきます。
★これは「触っていいか分からないExcel」に対して、いちばん安全な一歩です。 何も変えずに、中身だけ分かります。
→ 前任者が作ったExcelが分からない|作り直す前に確認すること
③ 繰り返す手順を、自動で動くものにする
毎回同じ順番でやっている作業(コピーして、並べ替えて、不要な行を消して、別の表に貼る)。手順を言葉で説明すると、それを行うものを作ってくれます。
ただし、ここからは注意が要ります。下に書きます。
④ 表の形を整え直す
人が見やすいように作られた表(結合されたセル、途中に入った小計、見出しが2段)は、集計には向きません。 整え直す手順を作らせることができます。
★任せる前に、必ず確かめること
① 元のファイルの控えを取る
当たり前に聞こえますが、いちばん飛ばされます。動かす前に、必ずコピーを1つ取ってください。
② 件数の少ないもので試す
いきなり本番の表で動かさないでください。10行だけのコピーで動かして、結果を目で確かめます。
③ 合計が合うかを確かめる
自動で動くようになったあと、手でやった結果と突き合わせるのを1回はやってください。合っていれば、それで済みます。
④ 中身に何が入っているかを確かめる
お客様の氏名や連絡先が入った表を、そのままAIに渡していないか。ここは決まりがあります。
⑤ 作ったものを、誰が持つかを決める
★ここがいちばん大事です。 せっかく作っても、置き場所と説明が残っていなければ、数年後にまた「前任者が作った、誰も分からないもの」が1つ増えるだけです。
最低限、これをファイルと一緒に残してください。
- 何のためのものか
- どこに入力するか
- どこを触ってはいけないか
- できあがったものを、誰にどう渡すか
それでも、自動にしなくていい場合があります
全部を自動にする必要はありません。手間の大半は、Excelの中ではなく、その前後にあることが多いからです。
→ Excelの転記作業を減らす方法|自動化の前に確かめること
次のどれかなら、そのままでよいと思います。
- 月に数回しかやらない
- 1回15分で終わる
- やり方が、しょっちゅう変わる
- 作業しながら、人が判断している
とくに最後です。判断が混ざっている作業を自動にすると、判断の理由が消えます。
自分たちでできること
① その作業で触るファイルを、全部書き出す
数が分かるだけで、話が変わります。3つだと思っていたら7つあった、ということがよくあります。
② 出口を1枚に書く
最後に何ができればいいのか。入力の仕方ではなく、出口から決めてください。 これが決まっていれば、途中の作り方は後からついてきます。
③ 長い式を1つ、AIに説明させてみる
何も壊さずにできます。最初の一歩として、いちばん安全です。
④ 計算式を1つ、作らせてみる
うまくいけば、そこから広げる。合わなければ、そこで止める。
やらなくていいこと
- マクロを勉強すること。 いまは、覚えなくても作れます
- 有料の自動化の道具を買うこと。 まず試してからです
- 全部の作業を一度に自動にすること。 1つだけにしてください
- きれいに作り直すこと。 動いているものは、動いたままで構いません
頼んだほうがいい場合
- 止まると、その日の仕事が止まる作業(試す場所を分ける必要があります)
- マクロが入っていて、何をしているか分からない
- 作らせてみたが、動かなかった/結果が合わない
- お客様の情報が入った表を扱いたい
- 作ったものを、次の人に渡せる形にしたい
最後のご相談が、いちばん価値が出ます。作ることより、渡せる形にするほうが難しいからです。