「そろそろ会社のパソコンを入れ替えたい」

そう思っても、いざ始めようとすると、手が止まります。

何台買えばいいのか。どれを選べばいいのか。いまのデータはどうするのか。古いパソコンはどう捨てるのか。いま使っているソフトは、新しいパソコンでも動くのか。

社内に詳しい人がいない会社だと、「買う」より先の作業を誰がやるのかが決まっていないことも珍しくありません。

だいたい、この3つのどれかがきっかけです

① 動きが遅くて、仕事にならない

起動に何分もかかる。ファイルを開くたびに待たされる。一人あたり1日10分待たされているなら、それは1年で40時間以上になります。

② サポートが終わった

Windows 10 のサポートは、2025年10月に終わりました。 使えなくなるわけではないので、そのまま使い続けている会社は少なくありません。ただ、取引先から状況を聞かれたときに答えられない、という形で表に出てきます。

③ 人が増えた、または減った

入社に合わせて買い足してきた結果、機種も購入時期もばらばらになっている。辞めた人のパソコンが、誰も使わないまま置いてある。

最初にやることは、全部を買い替えないと決めることです

「古いパソコンを全部新しくする」と考えると、金額が大きくなり、話がそこで止まります。

実際には、全部を替える必要はないことがほとんどです。まだ十分に使えるものは残せます。

そのために、まずいまあるものを書き出します。

使っている人 使用年数 主な用途 入れ替え
営業A 5年 メール・表計算・オンライン会議 必要
営業B 2年 メール・表計算 不要
経理 6年 会計ソフト・表計算 必要
社長 4年 メール・調べもの 要検討

この表を作るだけで、買う台数が減ります。

書き出し方そのものは、別の記事に詳しく書きました。何台あるかも分からない状態なら、先にそちらを読んでください。

→ 会社にあるパソコンやソフトを、誰も把握できていないとき、まず何をすればいいか

性能は、機械ではなく「人」から決めます

パソコン選びでいちばん多い失敗が、**「高いものを買っておけば安心」**という決め方です。

必要な性能は、使う人によって違います。

  • 事務 … メール、表計算、文書作成、調べもの。高い性能は要りません
  • 営業 … 上記に加えて、オンライン会議と複数の画面を同時に開く。少し余裕が要ります
  • 設計や動画を扱う人 … まったく別の話になります。ここだけは詳しい人に聞いてください

つまり、**「何を買うか」より先に「誰が何に使うか」**です。ここを決めずに選ぶと、事務の人に必要のない高い機械が渡り、設計の人に足りない機械が渡ります。

買う前に、3つだけ確かめてください

① そのパソコンにしか無いデータはないか

デスクトップに置いたファイル、メール、住所録、ソフトの設定。会社によっては、その人しか知らない場所に大事なファイルが入っていることがあります。

新しいパソコンに移す前に、古いほうを消してしまってからでは取り返せません。

② いま使っているソフトが、新しいパソコンでも動くか

会計ソフト、販売管理、勤怠、古い業務ソフト。古いものほど要注意です。 作った会社がもう無い、という場合もあります。

③ プリンターなどの機械がつながるか

複合機、スキャナー、バーコードを読む機械、カードを読む機械。「新しいパソコンを買ったら、プリンターが使えなくなった」は、実際に起こります。

買ったあとに残る作業が、けっこうあります

ここがいちばん見落とされます。10台入れ替える場合、こういう流れになります。

  1. いまのパソコンを調べる
  2. 必要な性能を決める
  3. 機種を選ぶ
  4. 買う
  5. 最初の設定をする
  6. 使う人の登録をする
  7. データを移す
  8. ソフトを入れる
  9. プリンターなどをつなぐ
  10. 使う人に渡す
  11. 古いパソコンを処分する

買うのは、11のうちの1つです。

社内に詳しい人がいない場合、この全体を誰が進めるのかを最初に決めておかないと、4番で止まります。 箱に入ったままのパソコンが、事務所の隅に積まれている——これもよくある光景です。

古いパソコンの処分にも、判断が要ります

会社のパソコンには、顧客の情報や社内の情報が入っています。

初期化すれば十分なのか、専門の業者にデータを消してもらうべきなのか。取引先との約束で決まっている場合もあります。 契約書を一度確認してください。

ここで止めていい場合

  • 台数が少なく、使い方も単純だった
  • 移すデータが少なく、場所も分かっている
  • 古いソフトを使っていない
  • 進める時間が取れる

このどれかなら、自分たちで十分にできます。 上の11ステップを順番にやるだけです。

頼んだほうがいい場合

  • 台数が多い(10台を超えるあたりから、片手間では回らなくなります)
  • 古い業務ソフトを使っていて、動くかどうか分からない
  • 移すデータが、どこにあるか分からない
  • 入れ替えのあいだ、仕事を止められない
  • 進める時間が取れない

最後の理由が、いちばん多いです。難しい作業ではありません。ただ、手間と時間がかかります。

入れ替えは「買う日」ではなく「使えるようになる日」で考える

見積もりを取ると、金額と納期が出てきます。ところがその納期は、機械が届く日です。

社員が新しいパソコンで普通に仕事を始められる日は、その先にあります。データを移し、ソフトを入れ、プリンターをつなぎ、使い方を説明したあとです。

そこまで含めて予定を立てておくと、「買ったのに使えない期間」が生まれません。