「パソコンのことは、総務に聞けばいいよね」

その一言から始まります。

最初は「設定くらいなら」と思っていた。ところが気づくと、こうなっています。

  • パソコンの購入
  • アカウントの作成
  • パスワードの問い合わせ
  • プリンターの不調
  • Wi-Fiがつながらない
  • クラウドのサービスの設定
  • セキュリティ
  • 社員が入るとき、辞めるときの手続き

どれも「本来の仕事」ではありません。 それでも、他に聞ける人がいないので、全部そこに来ます。

最初にやることは、全部を覚えようとしないことです

この状態になった人の多くが、まず勉強しようとします。 本を買う。調べる。詳しくなろうとする。

そこから始めないでください。 範囲が広すぎて終わりがなく、しかも日々の問い合わせは止まりません。

最初にやるのは、いま自分が何を抱えているのかを、外に出すことです。

次にやることは、「分からないこと」を書き出すことです

解決しようとしなくて構いません。困っていることを、そのまま並べるだけです。

  • パソコンの入れ替えが必要そうだが、何台か分からない
  • 契約しているサービスが、全部は分からない
  • Wi-Fiが遅い
  • 辞めた人のアカウントが残っている気がする
  • バックアップが取れているのか分からない

書き出すと、2つのことが起きます。

① 思っていたより少ない

頭の中では無限にあるように感じていたものが、紙に書くと5つや6つです。それだけで、抱えている感じが変わります。

② 種類が分かれる

「今すぐ何とかしないといけないもの」「気になっているだけのもの」「本当は自分の仕事ではないもの」に分かれます。全部を同じ重さで持つ必要がなくなります。

人に付いている情報を、会社に移す

会社でよくあるのが、この状態です。

「○○さんがパソコン詳しいから、何かあったら○○さんに聞いて」

短期的には便利です。ところがその人が辞めたり異動したりすると、まとめて分からなくなります。

大事なのは、詳しい人を育てることではなく、情報を人から会社に移すことです。

何を書き出せばいいか、どこから手をつけるかは、別の記事に詳しく書きました。

→ 会社にあるパソコンやソフトを、誰も把握できていないとき、まず何をすればいいか

一覧を作っておくと、問い合わせが来たときに「自分が覚えている」必要がなくなります。 これが、総務担当者にとっていちばん効きます。

全部を自分で解決しなくていい

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

総務の方がITに詳しくなること自体は、悪いことではありません。実際、詳しくなった方をたくさん見てきました。

ただし——

「総務だから、ITの専門家にならなければいけない」ということはありません。

分からない部分は、外に出していいのです。たとえば、

  • パソコンを10台入れ替えたい
  • クラウドのサービスを比べたい
  • いまのIT環境を一度整理したい

こういうものは、必要な部分だけ頼むことができます。 全部を任せる必要も、全部を自分でやる必要もありません。

ここで止めていい場合

  • 書き出してみたら、数が少なかった
  • どれも自分で調べれば分かりそうだった
  • 問い合わせが来ても、本来の仕事を圧迫していない

このどれかなら、いまのままで大丈夫です。 書き出した一覧だけ、誰でも見られる場所に置いておいてください。

誰かに頼んだほうがいい場合

  • 本来の仕事が、明らかに削られている
  • 判断を求められるが、判断する材料がない(業者の見積もりなど)
  • 自分しか分からない状態になっている(これは会社にとっても危険です)
  • 辞めたいと思ったことがある

最後の項目を書いたのは、冗談ではありません。IT担当を押しつけられた総務の方が、それを理由に会社を辞めることがあります。 本人の責任ではありません。

引き受けた仕事の範囲を、はっきりさせる

「なんとなく担当」がいちばんつらい形です。どこまでが自分の仕事なのかが決まっていないので、終わりがありません。

書き出した一覧を使って、**「ここまでは自分がやる」「ここから先は外に頼む」**を決めてください。決めるのは会社であって、あなた一人ではありません。

一覧があると、その相談ができます。 無いと、「なんとなく大変」としか言えません。