「前任者が辞めて、会社のシステムがよく分からなくなってしまった」
担当者が一人だけだった会社では、これが起きます。その人が悪いわけではありません。 引き継ぐ相手がいなかった、というだけのことが多いです。
残されたほうには、こういう状態が残ります。
- どのサービスを契約しているのか分からない
- 管理する側のアカウントが、どれなのか分からない
- パスワードを誰も知らない
- どの業者に連絡すればいいのか分からない
最初にやることは、新しいものを入れないことです
こういうとき、いったん作り直したほうが早いのではないかと考えたくなります。
やめてください。
いま何が動いているか分からない状態で新しいものを入れると、動いていたものまで止まります。 そして、止まった理由も分からなくなります。
最初にやるのは、いまどうなっているかを確かめることだけです。
★これだけは、触らないでください
先に、いちばん大事なことを書きます。
前任者がいなくなったからといって、「よく分からないけれど、設定を変えてみよう」は危険です。
特に次のものは、変えた瞬間に会社の仕事が止まることがあります。
- 会社のメールに関する設定
- 会社のドメイン(
◯◯.co.jpのような住所)に関する設定 - ネットワークの機器
- サービスを管理する側のアカウント
- セキュリティの設定
しかも、元に戻せないことがあります。 分からないまま触るくらいなら、分からないまま置いておくほうが安全です。
まず確かめる。触るのはそのあとです。
① 何を使っているかを書き出す
分かる範囲で構いません。
見つけ方として確実なのは、お金の流れを追うことです。
- 請求書の束
- クレジットカードの明細
- 銀行の引き落とし
毎月お金が出ているということは、何かを使っているということです。 記憶をたどるより、こちらのほうが早く、しかも漏れません。
書き出し方の詳しい中身は、別の記事に書きました。
→ 会社にあるパソコンやソフトを、誰も把握できていないとき、まず何をすればいいか
② 管理する側のアカウントを確認する
ここが、この状況でいちばん大事な確認です。
多くのサービスには、普通に使うためのアカウントとは別に、全体を管理するためのアカウントがあります。人を追加したり、支払いを変えたり、やめたりできるのは、そちらだけです。
確認したいのは、こういうことです。
- 管理する側のアカウントは、どれか
- そこに登録されているメールアドレスは、まだ使えるか
- 契約している名義は誰か
- 本人確認の設定(二段階認証)が、前任者の携帯電話になっていないか
最後の項目に注意してください。 前任者の携帯電話に確認の番号が届く設定になっていると、本人がいないと入れません。
③ パスワードは、推測しないでください
分からないパスワードを当てようとするのは、やめたほうがいいです。 何度か間違えると、そのアカウント自体が止まることがあります。
そして、知っておいていただきたいことがあります。
パスワードが分からない=会社のシステムが使えない、ではありません。
多くのサービスには、正式な取り戻しの手続きがあります。
- 別の管理する側のアカウントから変更する
- 会社として契約していることを示して、サービスの会社に問い合わせる
- 登録されているメールアドレスから再設定する
いちばん確実なのは、そのサービスの会社に直接問い合わせることです。 「担当者が退職して、管理する側のアカウントに入れない」という相談は、向こうにとって珍しい話ではありません。手続きが用意されています。
④ 業者の連絡先を集める
システムそのものだけでなく、人も分からなくなっています。
- パソコンを買っている店
- システムを作った会社
- インターネットの回線
- 複合機
- 保守を頼んでいる先
過去の請求書と、前任者のメールの受信箱に手がかりがあります。
⑤ 分かったことを、一覧にして残す
一度調べたら、次に同じことが起きないように残してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | |
| 何に使っているか | |
| 契約している名義 | |
| 管理する側のアカウント | |
| 更新の時期 | |
| 問い合わせ先 |
この簡単な表でも、次の担当者に渡せるものになります。
いま困っているのは、これが無かったからです。
ここで止めていい場合
- 請求書をたどったら、使っているものが全部分かった
- 管理する側のアカウントに、いまも入れる
- 止まって困っているものが、いま何も無い
このどれかなら、急いで誰かに頼む必要はありません。 一覧だけ作って残してください。
頼んだほうがいい場合
- 管理する側のアカウントに入れないものがある
- 本人確認が、前任者の携帯電話のままになっている
- 何を使っているのかが、請求書からも分からない
- 止まると仕事にならないものが、分からないものの中に含まれている
- 触っていいのかどうかの判断がつかない
最後の項目が、いちばん多い理由です。判断できないから動けないという状態は、時間が経つほど悪くなります。
これは、会社が小さいから起きる問題ではありません
「うちは小さい会社だから」と思われるかもしれませんが、違います。
整理する担当者がいなかった、それだけです。少しずつサービスが増え、そのつど別の人が申し込み、記録が残らなかった。どの会社でも同じ経緯で起きます。
分からないことを一つずつ確かめていけば、全体は見えてきます。一度に全部を分かろうとしないことだけ、気をつけてください。